医療事務資格の難易度は?資格試験の合格率から探る!
「医療事務の仕事に就きたいけど、資格って必要なのかな?取るのって難しいのかな?」とお悩みではないですか?
医療事務の資格には国家資格がないため、多数の民間団体が認定する民間資格が多数あって、難易度もそれぞれ異なります。
それだけにこれから資格取得を目指す方にとっては、「一体どの資格を取得したらいいの?」と迷ってしまうことでしょう。
そこで今回は、医療事務の資格試験の難易度やこれから勉強を始める方が取得すべき資格について詳しくご紹介します。
医療事務の資格とは?
医療事務の資格は医師や看護師のような国家資格ではなく、民間の団体が認定する民間資格です。
ですから、資格を取得しなければ仕事に就くことができないという訳ではありません。
ですが、医療事務は専門的な知識やスキルが要求される仕事です。
これから医療事務の職に就きたいと考える方であれば、資格取得に向けた勉強をすることはとても意味のあることになります。
医療事務には様々な民間団体の資格試験がありますが、おおむね2~6ヵ月間の勉強で合格を目指せるものが大半です。
そして合格率は50~60%と比較的高くなっています。
ですが、中には合格率が30%前後と難関の資格もあります。
しっかりとした学習計画を立て、地道に学習していけば確実に取得することができますので、「医療事務って難しそう。」と身構える必要はありません。
医療事務の試験について
医療事務の資格試験は暗記力を問われる試験ではありません。
ほとんどの資格試験では試験会場にテキストやノートなどの持ち込みが許可されています。
そればかりか自宅で受験できる試験まであります。
実施頻度も毎月、隔月、年2~3回といった多くの受験機会が設けられている試験が多いです。
中には講座を修了して随時受験できる試験まであります。
国家試験のように年1回の一発勝負といった緊張感はありませんので、気軽に肩の力を抜いてチャレンジするのが良いでしょう。
代表的な医療事務の資格試験の難易度は?
医療事務の資格試験は数多くありますが、中でも以下の3つは最も知名度が高く、信頼度も高い資格です。
● 医療事務技能審査試験(医科)
● 診療報酬請求事務能力認定試験 (医科)
● 医療事務管理士 技能認定試験(医科)
もし、「どの資格試験を受けたらいいんだろう?」と迷ったら、3つのうちいずれかを受ければ間違いないでしょう。
それでは、各資格試験の難易度や出題範囲、出題内容などの詳細を見ていきましょう。
一般財団法人 日本医療教育財団が実施する資格試験です(年12回実施されます)。
約40年の歴史があり、総受験者数152万人、合格者数約85万人以上、年間受験者約2万人という大規模な資格試験です。
試験合格者には「メディカルクラーク」の称号が与えられます。
合格率 67.2%(2014年度)と決して難易度が高い試験ではありません。
受験資格が無いので独学でも資格取得が目指せます。
スクールで資格取得を目指す場合は、ニチイ学館の講座が対応しています。
なお、資格試験の概要は以下の通りです。
資格概要 |
医療事務業務に従事する者の知識および技能の程度を審査し、証明することにより、医療事務職の職業能力の向上と、社会的経済地位の向上に資することを目的として実施。 |
受験資格 |
特になし |
試験日程 |
年12回 (毎月) |
試験内容 |
■ 学科・・・・・医療事務知識 筆記(択一式) 25問(60分) ■ 実技 I ・・・・・患者接遇 筆記(記述式) 2問(50分) ■ 実技 II ・・・・・診療報酬請求事務 明細書点検 4問(70分) |
出題範囲 |
■ 学科 ① 医療保険制度 ■ 実技Ⅰ コミュニケーション(医事課患者応対) ■ 実技Ⅱ 診療報酬請求事務・・・医科診療報酬明細書(出来高請求)の点検 |
時間 |
3時間 |
試験場所 |
各都道府県内の公共施設等 |
受験料 |
7,500円(税込) |
合格発表 |
試験日から約1ヵ月後に郵送で通知。 ※ 実技試験 I ・II および学科試験の各々の得点率が70%以上で合格。 |
主催団体 |
一般財団法人日本医療教育財団 〒101-0064 東京都千代田区猿楽町 2-2-10 TEL:03-3294-6624(代) FAX:03-3294-1787 |
備考 | 試験はテキストの持ち込み自由。 |
公益財団法人 日本医療保険事務協会が実施する試験です(平成6年~)。年2回(7月、12月)実施されます。
数ある医療事務の資格試験の中で最も難易度が高い試験で過去45回行われた試験の平均合格率は、29.9%です。
診療報酬請求事務を正しく行うのために必要な能力が備わっているかが厳しく判定されます。
合格率の低さから資格取得者(合格者)を高く評価する医療機関もあり、資格手当を支給している医療機関もあると言います。
受験資格がありませんので、独学でも合格を目指すことができますが、医療事務について初めて学ぶ方には難易度は高いと言えます。
独学では難しいと感じる方は、対応講座が開講されているヒューマンアカデミー(通学 or 通信)などで学習すると良いでしょう。
なお、資格試験の概要は以下の通りです。
資格概要 |
診療報酬請求事務に従事する者の資質の向上を図るため、 公益財団法人日本医療保険事務協会が実施する 全国一斉統一試験。 |
受験資格 |
特になし |
試験日程 |
毎年2回 (7月と12月の日曜日または祝日) |
試験内容 |
■ 学科試験・・・・・計20問(5者択一式) ■ 実技試験・・・・・診療録(カルテ)から手書き方式で診療報酬明細書(レセプト)を作成する試験。 ※ 外来から1問と入院から1問の計2問 |
出題範囲 |
■ 学科試験 ① 医療保険制度等・公費負担医療制度の概要 ② 保険医療機関等・療養担当規則等の基礎知識 ③ 診療報酬等・薬価基準・材料価格基準の基礎知識 ④ 医療用語及び医学・薬学の基礎知識 ⑤ 医療関係法規の基礎知識 ⑥ 介護保険制度の概要 ■ 実技試験 診療報酬請求事務についての実技 |
時間 |
3時間 |
試験場所 |
札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、東京都、横浜市、新潟市、金沢市、静岡市、名古屋市、大阪府、岡山市、広島市、高松市、福岡市、熊本市、那覇市 |
受験料 |
7,500円(税込) |
合格発表 |
試験月の翌々月末までに、全受験者に文書で通知。 |
合格基準 |
■ 学科試験・・・・・60点以上(100点満点)
■ 実技試験・・・・・85点以上(100点満点)
※ 実技試験は、解答された項目のうち正解した項目に応じてあらかじめ素点を算出し、得点が100点満点となるよう換算して採点されます。 |
主催団体 |
公益財団法人 日本医療保険事務協会 〒101-0047 東京都千代田区内神田 2-5-3 児谷ビル 電話 03(3252)3811(代) FAX 03(3252)2233 |
備考 | 試験会場への診療報酬点数表、その他の資料の持ち込みは自由。 |
日本ではじめて医療事務の資格を認定した試験機関㈱技能認定振興協会(約50年の歴史)が実施する資格試験です。
合格者には「医療事務管理士」の称号が与えられ、認定合格証が交付されます。
合格率は50%程度です。
奇数月に会場で試験が行われますが、「急いで資格を取得したい!」という方は自宅で受験できるIBT試験もあります。
IBT試験は、インターネットに繋がったパソコンがあればいつでもどこでも試験を受けることができる試験です。
こちらの試験も受験資格はありませんので、一通り学習を終えたら、思い切ってIBT試験を受けてみても良いでしょう。
試験に対応したテキスト&問題集が市販されていますので、独学でも合格を目指せます。
医療事務管理士 技能認定試験(医科)に対応した講座は、ソラストで開講されています。
資格試験の概要は以下の通りです。
資格概要 |
医療事務従事者に必要とされる医療保険制度の知識、治療費の計算や診療報酬明細書の作成などの技能を有するスペシャリストと認められる資格。 |
受験資格 |
特になし |
試験日程 |
会場受験・・・・・年6回 (奇数月の第 4 土曜日) 自宅受験・・・・・随時 |
試験内容 |
■ 学科試験・・・筆記(択一式) 10 問 ■ 実技試験・・・レセプト点検問題 (1問)、レセプト作成 (外来・入院 各1問) |
試験内容 |
■ 学科試験 ① 法規・・・・・医療保険制度・後期高齢者医療制度・公費負担医療制度等についての知識 ② 保健請求事務・・・・・診療報酬点数の算定方法・診療報酬明細書の作成・医療用語等についての知識 ③ 医学一般・・・・・各臓器の組織・構造・生理機能 ・傷病の種類等についての知識 ■ 実技試験 療報酬明細書を作成するために必要な知識 |
時間 |
■ 学科試験・・・1時間 ■ 実技試験・・・3時間 |
試験場所 |
■ 会場受験・・・・・札幌・旭川・仙台・福島・盛岡・東京・横浜・千葉・埼玉・群馬・栃木・茨城・新潟・長野・名古屋・三重・静岡・浜松・金沢・大阪・奈良・神戸・京都・ 福知山・岡山・広島・松山・高知・福岡・宮崎・熊本・沖縄 ■ 自宅 |
受験料 |
7,500円(税込) |
合格発表 |
試験実施後1 ヵ月以内に文書にて通知。 |
合格基準 |
■ 学科試験・・・・・70点以上 ■ 実技試験・・・・・点検・各作成問題ごとに50%以上の得点をし、且つ、3問の合計で70%以上 ※ 実技・学科ともに合格基準に達した場合に合格。 ※ 合格率・・・・・約 50 % |
主催団体 |
㈱技能認定振興協会 (JSMA) 〒101-8638 電話 03-3864-3559 FAX 03-3864-5112 |
備考 |
電卓、点数表、テキスト、ノートなどの試験会場への持込は可能。 |
その他の医療事務の資格試験の難易度
医療事務の三大資格とも言うべき「医療事務技能審査試験(医科)」、「診療報酬請求事務能力認定試験 (医科)」、「医療事務管理士 技能認定試験(医科)」について見てきましたが、医療事務の資格試験にはこの3つ以外にもいくつかあります。
その他の医療事務の資格試験の難易度についてもご紹介いたします。
NPO法人 全国医療福祉教育協会が認定する資格(2016年に新設)で初めて医療事務に従事する方向けの資格です。
試験では接遇・マナーなど、受付業務に必要な知識を重点的に問われます。
試験の平均合格率は60~80%ですから、資格取得の難易度は低いと言えるでしょう。
この資格試験には通信講座のユーキャンが対応しています。
■ 医療事務検定試験
日本医療事務協会(学校法人三幸学園グループ)が実施する資格試験で平均合格率 88.1 %(平成28年度)と難易度は低めです。
医療事務の基本的な算定知識があれば誰でも受験可能ですが、受験前に課題の提出が必要です。
医療保険制度、患者対応、医療費計算、請求事務の知識など医療事務全般の基本的知識と技術が審査されます。
この資格試験には、日本医療事務協会の講座が対応しています。
NPO法人 全国医療福祉教育協会が実施する資格試験でどなたでも受験できます(受験資格なし)。
レセプト作成技能を含む診療報酬に関する知識、医療関連法規に関する知識を客観的に判定する試験です。
合格率が60~80%なので、難易度は低いと言えます。
NPO法人 医療福祉情報実務能力協会が認定する教育機関で学習した方が受験できます。
試験に合格すると、「医療事務実務士」の称号が与えられます(2級と1級があります)。
平均合格率は、2級が61.7%、1級が54.2%なので、難易度は高くはありません。
一般財団法人 日本ビジネス技能検定協会が主催する検定試験で3級から1級まであります。受験資格はありません。
病院等で必要とされている専門知識(医療保険の仕組み、治療費の計算方法、診療報酬請求の仕組み etc.)を有していることを証明する資格です。
合格率は3級から1級とも80~90%なので、難易度は低いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、医療事務の資格試験の難易度やこれから勉強を始める方が取得すべき資格について詳しくお伝えしました。
診療報酬請求事務能力認定試験(医科)のように難易度の高い資格試験もありますが、多くが50~60%の合格率と決して難易度は高くありません。
ですが、どの資格も2~6ヵ月はきちんと勉強しなければ、取得することはできません。
資格取得を目指す方は合格率の高さに惑わされることなく、きちんとした学習計画を立てて臨むのが良いでしょう。