必見!今さら聞けない診療報酬請求事務能力認定試験の難易度とは?
【最終更新日:2019年11月19日】
「診療報酬請求事務能力認定試験(医科)」は、医療事務の資格試験の中で最も難易度が高いと言われています。
ですが、中には「難しい、難しいって言われるけど、何がそんなに難しいの?」と思われている方もいらっしゃるのでは?
そこで今回は、診療報酬請求事務能力認定試験の難易度について他の医療事務資格試験と比較しながら詳しくお伝えしたいと思います。
「診療報酬請求事務能力認定試験」とは?
「診療報酬請求事務能力認定試験(医科)」は、その名の通り、診療報酬請求事務の能力を認定する試験です。
平成6年から年2回のペースで現在までに(2019年11月現在)50回実施されました。
資格概要 | 診療報酬請求事務に従事する者の資質の向上を図るため、 公益財団法人日本医療保険事務協会が実施する 全国一斉統一試験。 |
受験資格 | 特になし |
試験日程 | 毎年2回 (7月と12月の日曜日または祝日) |
試験内容 |
■ 学科試験・・・・・計20問(5者択一式) ■ 実技試験・・・・・診療録(カルテ)から手書き方式で診療報酬明細書(レセプト)を作成する試験。 ※ 外来から1問と入院から1問の計2問 |
出題範囲 |
■ 学科試験 ① 医療保険制度等・公費負担医療制度の概要 ② 保険医療機関等・療養担当規則等の基礎知識 ③ 診療報酬等・薬価基準・材料価格基準の基礎知識 ④ 医療用語及び医学・薬学の基礎知識 ⑤ 医療関係法規の基礎知識 ⑥ 介護保険制度の概要 ■ 実技試験 診療報酬請求事務についての実技 |
時間 | 学科試験・実技試験 合計 3 時間 |
試験場所 | 札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、東京都、横浜市、新潟市、金沢市、静岡市、名古屋市、大阪府、岡山市、広島市、高松市、福岡市、熊本市、那覇市 |
受験料 | 9,000円(税込) |
合格発表 |
試験月の翌々月末までに、全受験者に文書で通知。 合格者には認定証が交付されます。 |
合格基準 |
実施される試験ごとに合格ラインは異なります。 |
主催団体 |
公益財団法人 日本医療保険事務協会 〒101-0047 東京都千代田区内神田 2-5-3 児谷ビル 電話 03(3252)3811(代) FAX 03(3252)2233 |
備考 | 試験会場への診療報酬点数表、その他の資料の持ち込みは自由。 |
「診療報酬請求事務能力認定試験」の合格率は?
「診療報酬請求事務能力認定試験(医科)」の難易度を判断するうえで一番分かりやすいのが、合格率です。
「診療報酬請求事務能力認定試験(医科)」の過去50回の平均合格率は、30.1%です。
約7割の方が不合格になっていることから、難易度は高いと言えるでしょう。
下記の表は試験の主催団体(公益財団法人 日本医療保険事務協会)が公式WEBサイトで公表している合格率の推移です。
実施回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
50回(2019年7月) | 3,947 名 | 1,374 名 | 34.8 % |
49回(2018年12月) | 6,119 名 | 1,738 名 | 28.4 % |
48回(2018年7月) | 3,894 名 | 1,618 名 | 41.6 % |
47回(2017年12月) | 7,019 名 | 2,152 名 | 30.7 % |
46回(2017年7月) | 4,688 名 | 1,479 名 | 31.5 % |
45回(2016年12月) | 7,232 名 | 2,840 名 | 39.3 % |
44回(2016年7月) | 4,581 名 | 1,339 名 | 29.2 % |
43回(2015年12月) | 8,038 名 | 3,107 名 | 38.7 % |
42回(2015年7月) | 5,529 名 | 1,845 名 | 33.4 % |
41回(2014年12月) | 8,130 名 | 2.608 名 | 32.1 % |
40回(2014年7月) | 5,665 名 | 1,670 名 | 29.5 % |
39回(2013年12月) | 9,391 名 | 2,903 名 | 30.9 % |
38回(2013年7月) | 6,733 名 | 2,201 名 | 32.7 % |
37回(2012年12月) | 9,289 名 | 3,096 名 | 33.3 % |
36回(2012年7月) | 6,339 名 | 1,885 名 | 29.7 % |
35回(2011年12月) | 10,521 名 | 2,916 名 | 27.7 % |
34回(2011年7月) | 7,561 名 | 2,071 名 | 27.4 % |
33回(2010年12月) | 10,316 名 | 2,763 名 | 26.8 % |
他の医療事務試験の合格率は?
では、他の医療事務試験の合格率はどうなんでしょうか?
「医療事務技能審査試験(医科) 」(1974年~)と「医療事務管理士 技能認定試験(医科) 」(1969年~)の合格率を見てみましょう。
いずれの試験も歴史と実績があり、「診療報酬請求事務能力認定試験(医科)」と並んでポピュラーな医療事務試験です。
「医療事務技能審査試験(医科)」の合格率は非公表です(推定50%前後)。
そして、「医療事務管理士 技能認定試験(医科)」は、約50%の合格率です。
「医療事務管理士 技能認定試験(医科)」の直近の合格率は以下の表の通りです(試験の実施団体のWEBサイトより)。
実施年月 | 合格率 |
2017/09 | 53.3% |
2017/07 | 58.7% |
2017/05 | 51.2% |
2017/03 | 47.5% |
2017/01 | 38.4% |
2016/11 | 49.2% |
2016/09 | 49.0% |
このことから、「診療報酬請求事務能力認定試験(医科)」は、他の医療事務試験に比べて合格率が低い(難易度が高い)ことがお分かりいただけると思います。
「診療報酬請求事務能力認定試験(医科)」の合格率が低い(難易度が高い)理由として、以下の理由が挙げられます。
① 試験内容が難しい
② 合格基準が高い
なお、医療事務資格試験の合格率と難易度に関しては下記の記事でさらに詳しくご紹介しております。
「診療報酬請求事務能力認定試験」の試験内容は?
次に診療報酬請求事務能力認定試験の試験内容についても見ていきましょう。
■ 学科試験・・・・・計20問(5者択一式)
■ 実技試験・・・・・診療録(カルテ)から手書き方式で診療報酬明細書(レセプト)を作成する試験。※ 外来から1問と入院から1問の計2問
何と言っても、実技試験が最大の難関です。
現在の医療現場で手書きで診療報酬明細書(レセプト)を作成することはありませんが、診療報酬請求事務能力認定試験では手書きでのレセプト作成が課されます。
外来のレセプト作成は比較的簡単ですが、入院のレセプト作成問題は難問です。
しっかりとした試験対策が必要になります。
そして、学科試験も侮れません。
学科問題で出題されるのは、公費や介護を含む保険関係が3~4題、残りは全て診療報酬の算定に関する問題です。
計算問題はありませんが、算定方法について、診療報酬点数表全般からまんべんなく、細かく出題され、難易度は高いと言えます。
時間配分から考えて1問あたり3分前後で解答を導き出す必要があります。
【学科試験の問題例】
次の文章のうち正しいものはどれですか。
(1)処方せんの使用期間は、事情のいかんにかかわらず、交付の日を含めて4日以内である。
(2)疾患を有する者に対して健康診断を行った場合、健康診断に要した検査及び画像診断の費用は、療養の給付として診療報酬を請求できる。
(3)同一の保険医が別の保険医療機関において、同一の患者について診療を行った場合は、それぞれの医療機関において初診料を算定する。
(4)医療保険の一部負担金を支払う場合は、法律により5円未満の端数は切り捨て、5円以上の端数は10円に切り上げることが定められている。
a (1)、(2) b (2)、(3) c (1)、(3)、(4) d (1)~(4) e (4)のみ
正解は、e
「医療事務技能審査試験(医科)」と「医療事務管理士 技能認定試験(医科)」の試験内容についても見ていきます。
「医療事務技能審査試験(医科)」の実技試験は、レセプト作成ではなく、レセプト点検です。
レセプト作成に比べれば、難易度は低いと言えるでしょう。
それに患者接遇についても出題される点が大きな特徴です。
「医療事務管理士 技能認定試験(医科)」は、合計4時間の長丁場の試験となります。
「医療事務技能審査試験」の試験内容 |
①実技試験 I (50分)・・・・・患者接遇 筆記(記述式) 2問 窓口や電話での対応についてです。患者さんから問い合わせがあった場合などにどのように対応するか、400字程度の文章で答える問題が2題出題されます。 ②学科試験(60分)・・・・・医療事務知識 筆記(択一式) 25問 3択問題で、医療保険制度、公費負担医療制度、診療報酬算定の問題など幅広い分野から25題出題されます。 ③実技試験 II (70分)・・・・・診療報酬請求事務 明細書点検 4問 4枚のカルテをもとにそれぞれ作成されたレセプト4枚を突き合わせし、誤りを訂正するという内容です。 |
「医療事務管理士 技能認定試験」の試験内容 |
■ 学科試験(1時間)・・・筆記(択一式) 10問 ■ 実技試験(3時間)・・・レセプト点検問題 (1問)、レセプト作成 (外来・入院 各1問) |
「診療報酬請求事務能力認定試験」の合格基準は?
「診療報酬請求事務能力認定試験」は学科試験と実技試験の2本立てとなっており、それぞれに合格基準が設けられています。
■ 学科試験・・・・・60点以上(100点満点)
■ 実技試験・・・・・80点以上(100点満点)
※ 合格基準は各回の試験の難易度によって変動します(上記の基準は第46回試験です)。
実技試験の合格基準が80点以上というのは非常に高いです。
何せ手書きによるレセプト(診療報酬明細書)を作成する訳ですから・・・。
特に入院レセプトは複雑で難易度が高いです。
学科試験も決してやさしい問題ではありません。
学科試験で合格ラインを突破していないと、実技試験の採点はしてもらえない点に注意が必要です。
では次に「医療事務技能審査試験」と「医療事務管理士 技能認定試験」の合格基準についても見てみましょう。
「医療事務技能審査試験」の合格基準 |
■ 学科試験・・・得点率が70%以上 ■ 実技試験Ⅰ・・・得点率が70%以上 ■ 実技試験Ⅱ・・・得点率が70%以上 |
「医療事務管理士 技能認定試験」の合格基準 |
■ 学科試験・・・70点以上 ■ 実技試験・・・点検・各作成問題ごとに50%以上の得点をし、かつ、3問の合計で70%以上 |
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、「診療報酬請求事務能力認定試験(医科)の難易度」について詳しくお伝えしました。
「診療報酬請求事務能力認定試験(医科)」は、試験内容も難しいのですが、年に2回しか受験のチャンスがありません。
そのため、合格を目指す場合は、周到な準備をしたうえで臨むようにしましょう。