医療事務管理士とメディカルクラークの違いを徹底解説!
【最終更新日:2021年4月14日】
これから医療事務の資格を取得しようと思っている方の中には「医療事務管理士とメディカルクラークの違いって何だろう?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
どちらも医療事務の資格には間違いはありませんが、2つの資格は微妙に異なっています。
そこで今回は「医療事務管理士とメディカルクラークの違い」について詳しくお伝えします。
※ 医療事務管理士とメディカルクラークは医科と歯科に分かれていますが、医科での比較になります。
医療事務管理士とメディカルクラークの違いとは?
医療事務管理士とメディカルクラークの違いには以下のようなことが挙げられます。-
①主催団体が違う
医療事務管理士は株式会社(民間企業)が認定する資格で
メディカルクラークは一般財団法人(公益性の高い事業を行う団体)が認定する資格です。
②試験の出題形式が違う
医療事務管理士、メディカルクラークともに学科試験と実技試験の2本立ての試験です。
学科試験はどちらの試験も択一式ですが、実技試験は出題形式が少し異なります。
医療事務管理士は外来と入院のレセプト作成(手書き)が1問ずつに加えてレセプト点検(1問)の合計3問が出題されます。
※ 医療事務管理士の試験は「在宅試験」と「インターネット試験」の2通りがあり、インターネット試験は学科試験・実技試験とも択一式の試験です。
一方、メディカルクラークは実技試験Ⅰでは記述式(手書き)の患者接遇に関する問題が2問出題され、実技試験Ⅱでは診療報酬請求事務 明細書点検(手書き)が4問が出題されます。
実技試験Ⅱは、4枚のカルテをもとにそれぞれ作成されたレセプト4枚を突き合わせし、誤りを訂正するという内容です。
③難易度が違う
医療事務管理士の合格率は50~60%程度です。
一方のメディカルクラークは合格率が非公表(試験の主催団体が合格率を公表していない)です(50~60%の合格率と推察される)。
医療事務管理士は実技試験で記述式のレセプト作成問題が2問出題される点からメディカルクラークよりも少し難易度が高いと言えるでしょう。
④受験方法が違う
医療事務管理士の試験は在宅試験(奇数月のみ)とインターネット試験の2通りがあります。
一方、メディカルクラークは在宅試験(毎月)のみの受験形態です。
特に医療事務管理士のインターネット試験は自分が受験したい時に随時受験できるうえに試験結果も受験後すぐに判明することから利便性が高いと言えます。
医療事務管理士 技能認定試験(医科)に関して
医療事務管理士 技能認定試験(医科)は、株式会社技能認定振興協会が年6回(奇数月)実施する試験です。
※ インターネット受験(インターネットに繋がったパソコンを使用)の場合は、随時受験できます。
試験は1974年(昭和49年)から実施(45年以上の歴史)されており、年間受験者数も多く、医療事務資格の中で主要な資格の1つです。
試験に合格することで認定合格証が授与されると共に「医療事務管理士」の称号が与えられます。
合格率は毎回50~60%です。
医療事務管理士は、これから医療事務の職業に就こうとしている方向けの資格です。
【医療事務管理士 技能認定試験(医科)の合格率の推移】
実施年月 | 合格率 |
2020/07 | 70.4% |
2020/05 | 63.1% |
2020/01 | 62.7% |
2019/11 | 51.2% |
2019/09 | 49.8% |
2019/07 | 65.4% |
在宅試験は学科試験(択一式計10問)と実技試験(レセプト点検 1問、レセプト作成 2問:外来・入院 各1問)に分かれており、合計4時間(学科1時間、実技3時間)です。
※ インターネット試験は3時間
※ 試験問題サンプル
平均合格率が50~60%とはいえ、3ヵ月から半年間はみっちり勉強しないと合格は難しいでしょう。
この試験に対応している講座は、ソラスト、資格スクール大栄、ネバギバなどです。
試験対策問題集がソラスト公式サイトで購入可能なので、独学で取得を目指すことも可能です。
【医療事務管理士 技能認定試験(医科)の概要】
資格概要 |
医療事務従事者に必要とされる医療保険制度の知識、治療費の計算や診療報酬明細書の作成などの技能を有するスペシャリストと認められる資格。 |
受験資格 |
特になし |
試験日程 |
在宅受験・・・・・年6回(奇数月の第4土曜日) インターネット試験・・・・・随時 |
試験内容 |
在宅試験 ①実技試験・・・レセプト点検問題 (1問)、レセプト作成 (外来・入院 各1問) ②学科試験・・・筆記(択一式) 10問 インターネット試験 ①実技試験(択一式)60問 ②学科試験(択一式)50問 |
出題範囲 |
■ 学科試験 ① 法規・・・・・医療保険制度・公費負担医療制度等についての知識 ② 保健請求事務・・・・・診療報酬点数の算定・診療報酬明細書の作成・医療用語等の知識 ③ 医学一般・・・・・臓器・生理機能・傷病等についての知識 ■ 実技試験・・・診療報酬明細書を作成するために必要な知識 |
時間 |
在宅試験 4時間 インターネット試験 3時間 |
試験場所 |
在宅試験 在宅受験 インターネット試験 好きな場所で受験可能 |
受験料 |
7,500円(税込) |
合格発表 |
在宅試験 試験実施後1ヵ月以内に文書にて通知。 インターネット試験 結果が受験後にすぐに判明。 |
合格基準 |
在宅試験 ①実技試験・・・・・点検・各作成問題ごとに60%以上の得点をし、且つ、3問の合計で85%以上 ②学科試験・・・・・85点以上 ※ 実技・学科ともに合格基準に達した場合に合格。 インターネット試験 70%以上の得点 |
主催団体 |
㈱技能認定振興協会 (JSMA) 〒101-8638 電話 03-3864-3559 FAX 03-3864-5112 |
備考 |
電卓、点数表、テキスト、ノートなどの参照が可能。 |
メディカルクラーク(医療事務技能審査試験)に関して
医療事務技能審査試験(医科)は、一般財団法人日本医療教育財団が年12回(毎月)実施する試験です。
試験は1974年から実施(45年以上の歴史)されており、医療事務資格としては最大規模の試験です(医療事務資格の中でメジャーな資格の1つ)。
※ 総受験者数163万人、合格者数約92万人以上、年間受験者約1万6,000人
試験に合格することで「メディカルクラーク」の称号が与えられます。
合格率は非公表ですが、毎回50~60%と推察されます。
メディカルクラークは、これから医療事務の職業に就こうとしている方向けの資格です。
この試験に対応している講座は、ニチイ学館です。
【医療事務技能審査試験(医科)の概要】
資格概要 | 医療事務業務に従事する者の知識および技能の程度を審査し、証明することにより、医療事務職の職業能力の向上と、社会的経済地位の向上に資することを目的として実施。 |
受験資格 | 特になし |
試験日程 | 年12回(毎月) |
試験内容 |
■ 学科・・・・・医療事務知識 筆記(択一式) 25問(60分) ■ 実技 I ・・・・・患者接遇 筆記(記述式) 2問(50分) ■ 実技 II ・・・・・診療報酬請求事務 明細書点検 4問(70分) |
出題範囲 |
■ 学科 ① 医療保険制度 ■ 実技Ⅰ コミュニケーション(医事課患者応対) ■ 実技Ⅱ 診療報酬請求事務・・・医科診療報酬明細書(出来高請求)の点検 |
時間 | 3時間 |
試験場所 | 在宅試験 |
受験料 | 7,700円(税込) |
合格基準 |
実技試験 I ・II および学科試験の各々の得点率が70%以上で合格。 |
主催団体 |
一般財団法人日本医療教育財団 〒101-0064 東京都千代田区猿楽町 2-2-10 TEL:03-3294-6624(代) FAX:03-3294-1787 |
備考 | 試験日があらかじめ決められており、試験日の当日の午前中に試験問題と解答用紙が宅配便で自宅に送られてきます。
受験終了後は、当該試験日の翌日まで(試験日当日または翌日の消印有効)に、同封の返信用封筒に試験問題・解答用紙を封入し、簡易書留等発送記録の残る方法(普通郵便不可)で返送します。 |
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、「医療事務管理士とメディカルクラークの違い」についてお伝えしました。
医療事務管理士とメディカルクラークは微妙な違いがありますが、どちらも歴史と実績があり、医療事務資格の中では主要な資格である点が共通しています。
どちらの資格も「これから医療事務の仕事に就こう!」と考えている方には最適な資格となります。
「どの医療事務資格を取得しようかな?」と迷ったら、医療事務管理士かメディカルクラークどちらかの取得を目指されると良いでしょう。
「レセプト(診療報酬明細書)について詳しく学びたい!」という場合は医療事務管理士がオススメになります(試験勉強の過程で多くのレセプトを手書きで作成するため)。